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朝は仏飯器に
俺は二口飯を盛る
線香の匂いも慣れてきて
外はもう春本番
母の念仏聞くたびに
俺は口をつぐむ
新香の塩気を噛みしめて
遠い記憶は春のなか
挫折を知らないお前のことを
憎んだ俺を許してくれ
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お前の棺桶に詰めたのと
同じ花を一杯に供える
退紅の花びらを
予報外れの春暑し日に
お前に顔を
合わせに行くよ
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畦道を歩くたびに
やるせなさに駆りたてられる
無力な掌じっと見て
風はもう秋模様
べそをかかないお前のことを
羨んだ俺を許してくれ
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お前がいちばん好きだった
季節の花を一杯に供える
秋桜の花びらを
予報外れの秋暑し日に
お前に顔を
合わせに行くよ
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秋風の吹く寂しげな林を
首をすぼめて歩いていく
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お前の棺桶に詰めたのと
同じ花を一杯に供える
退紅の花びらを
予報外れの春暑し日に
お前に顔を
合わせに行くよ