熱い自分語りの夢が覚めると
見たことのない場所にいた
つながりのないはずの人たちの
目と耳が囲う場所にいた
逃げるようにテラスに飛び出すと
一人の男が立っていた
すがるように助けを請うた
「このパンをやるから助けてくれ」
男は言った
「そのパンを食べればあなたはもう一日歩くことができる
その間にあなたを見聞きするものは去るでしょう」
「頼むから弁護士なんかに人生を預けないでくれ
自分のことさえ操縦できない奴に
自分のことにさえ責任を持てないような奴に」
歩いて歩いて歩き続けた
目と耳は次第に消えていった
疲れ果て倒れた時声がした
「このパンを一緒に食べよう」
選べたはずだった未来
いつかいつかと祈るだけ
千の葉が降る頃に
松の戸を開けて